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BLOG

2020.12.27

ビットコインの思想

Category : 影響思想
Author : 脇坂あゆみ

先月の定例会では、「ビットコインの思想史」についてディスカッションしました。参加者はオンライン含め9名。プレゼン、リードは東京大学法学部生の三上哲寛さん。

 

数ある暗号通貨の中でもなぜビットコインが特別なのか、アイン・ランド思想とどのような関係があるのか、とてもシンプルに理解できた会でした。

 

プレゼンテーションと要旨はこちら

 

ビットコインの二番目の参加者、ハル・フィニーはランドの影響を受けています。

 

アイン・ランドがどれくらいビットコインの思想的基盤になっているかは何とも言えませんし、生みの親のサトシ・ナカモト がどんな思想の持ち主だったかもわかりませんが、ビットコインとランドのマネー思想の親和性が高いこと、アイン・ランド好きな人にはビットコインが好きな人が多いことは確か。

 

国家から独立した通貨が存在するべき、あるいは百歩譲って、政治は通貨介入を完全にやめるべき、というのが彼らの共通の立場で、例えば米国アイン・ランド協会のカンファレンスでは、あちこちの分科会で真剣に語られ、議論されていました。

その中には経済学の教授ばかりでなく、銀行家(BB&T元頭取のジョン・アリソンなど)もいて、日本からきて眺めているとかなりシュールな光景ではありました。

 

とはいえそんな私も、『肩をすくめるアトラス』の中で一番衝撃を受けたのはフランシスコ・ダンコニアの「マネー・スピーチ」であり、これを読んで欲しくて1200ページを訳した、ともいえます。

 

お金は、あくまで正直な労働を反映する価値の象徴であって欲しい。

そのお金の価値が守られることによってしか、社会正義は実現しない。

 

あと、単なるぼやきですが、、、

 

アイン・ランド関係で、ビットコインについて考えるのは、三度目。

最初は、2014年6月、映画『肩をすくめるアトラス』の試写会で、ニューハンプシャーでFree State Projectに関わっている男の子から、ビットコインについて熱く語られ、0.01 BTCを与えられたとき。

このときは、ネタとしてSNS用にスクショをとっただけ。どうしてあのとき素直に話を聞いて、せめて10ビットコインくらい買っておかなかったのか。。 

二番目は、『肩をすくめるアトラス』を文庫化したとき、校正やデザイン、宣伝を報酬も求めず一緒にやってくれた二人の仲間に、ほんの気持ちとして1BTCずつ送ったとき。それは、アイン・ランドに関わるプロジェクトをしたことに対する対価としてとてもふさわしい気がして、何となく、だったのだけど、手数料が異常に高い!と当時は思ったので、自分には買わなかった。1BTCは当時4万円台。。。

 

最後が先月、三上さんがプレゼンしてくれてディスカッションした定例会でした。

1BTC4万円で数年前に取引した私は、50万円だろうが、100万だろうが、200万円ならば尚更、1BTCを改めて買おうなんて気にはなれなかった。

だけどビットコインを買うという行為は、労働が正当に評価され、富がしかるべき人のところで価値を失わずに貯められ、正当に交換される正義を信じる、それが実現する未来を信じるって行為なのだとしみじみと思って、眠っていたBTC口座に自分にしては大金を振り込んだ。その時点で1BTCが180万円くらいだったか。でも年末多忙を極めてそのままに、ふと相場を見たら、、270万円!!!

ランドに三度もビットコインの可能性をいいタイミングで教わりながら、3回も乗り遅れた自分には、もはやランドを語る資格もないのかもしれない。。。