SHARE

Twitter

Facebook

  • TwitterTwitter
  • FacebookFacebook
  • YouTubeYouTube

BLOG

2019.02.09

こんまりドラマの最終回で

Author : 脇坂あゆみ

話題の近藤麻理恵さんのNetflixシリーズ(Tiding up with Marie Kondo)をやっと、みました。

結論から言うと、みてよかった! まだの人には是非オススメしたいです。

もともと、大学の友人がこんまりさんの米国進出支援に関わっていたとかで、仲間内で「アメリカでこんなに日本人がうけるとは、何があった!?」みたいな議論があって、私は『片付けの魔法』の愛読者なので、単に手法が新鮮で内容が良いんじゃない?と思っていたんですが。

まず、Netflixシリーズは、『片付けの魔法』の本とは別物です。

提唱されている手法は同じなのですが、片付けに興味がなくてもハウスオブカード並みに面白い。ほぼノンストップで観てしまいました。

何が面白いかというと、片付けの前後で人格が目に見えて変わっていくところ。

あまりに劇的に変わるので、こんまり支援の友人にあれはやらせじゃないのかと訊いたところ、「全部実話」だそう。

子育てに疲弊し、心も離れそうなカップルが出会った頃の「ときめき」を思い出し、目がハートになっていったり。

退職後、テレビばかり観ているお父さんが別人のように、溌剌とした多趣味な男性に変わったり。

一人ですべてを抱えこみ、娘から「散らかりすぎていて家にいる感じがしない」と言われて涙ぐんでいたお母さんが、徐々に協力的になっていった夫や子どもに家事を分担し、すっきりしたキッチンでバレリーナジャンプしたり。

長年連れ添った夫を亡くして悲嘆にくれている未亡人が、泣きながら夫の服を処分していたのに、いつの間にかテルマ&ルイーズ並みに弾けていったり。

いわゆるガラクタを、こんまりさんが捨てさせていく感じもおかしい。

妻の出産を控えて一念発起した男性。黒いガラクタをかかえて「これは最初に買った家の郵便ポスト。僕の両親はグアテマラからきて家を持ったけど、その三軒先に息子が家を買うなんて考えられた?」みたいなことを延々言っている。でもじっと聴いていたこんまりさんが、「それはこれからの人生にあったほうが良いですか?」と静かにたずねると、そっとポイ。

身近でリアルな家族のドラマが絶妙なタッチで描かれているのです。

そんな感じで一気にみたんですが、最終エピソードの途中で、アイン・ランドの背表紙が!

左から『水源』『利己主義の美徳』『われら生きるもの』『肩をすくめるアトラス』!?

あらためて戻って見ると。

片付け前はこんな感じ。ぐちゃっと、『アトラス』が雑多な本の中に積まれています。

つまり並んでいる4冊は、本当に大切な本を厳選した結果、書斎のど真ん中に置かれたのです。

(ちなみにこの部屋は書斎兼クローゼットで、番組のフォーカスは「靴」の収納ですが)

想像するに順番にも意味があって。『水源』は古いマスマーケット版で、アンジェラさんが最初に出会ったランドの作品なのでしょう。そのときの衝撃から、短めの雑文集や処女小説を経て『アトラス』にたどり着き、直近はそれをたまに読み返したりもしている、という典型的なパターン。

最後のまとめにあったので。Before↓ 

After↓

 もし私が本棚をこんまりしたら、やはり最初に読んだThe Fountainheadと、Atlas Shrugged、We the Livingあたりは真ん中に来るのだろうと思う。

邦訳のランド作品も、どこかで誰かのこんまりをサバイブして、人生に本当に大切な一冊になっていてくれたら嬉しい。