SHARE

Twitter

Facebook

  • TwitterTwitter
  • FacebookFacebook
  • YouTubeYouTube

BLOG

2021.05.05

ウイグル問題共有会

Author : 脇坂あゆみ

先日の定例会では、ウイグル問題を取り上げました。講師は大連での勤務経験もあり中国事情に明るい内藤明宏さん。『なぜ中国はこんなにも世界で嫌われるのか』著者でもあります。

資料はこちら

私自身もこの会での学びとディスカッションにより、福島香織さんの『ウイグル人に何が起きているのか』、清水ともみさんの『命がけの証言』を読んでの衝撃がいくらか落ち着き、個人としての立ち位置と、いまできることを冷静に考える良い機会となりました。

まず、いまなぜ、ウイグルなのか。

日本に住む一個人としては、上記二冊含め、BBCなど欧米のドキュメンタリーを少し見るだけで戦慄し、特にここ最近の報道になぜナチス以上に酷い弾圧がいま現在もお隣で、ほぼ公然と行われているか理解に苦しむわけですが、

中国の少数民族弾圧は、今に始まったことではありません。人権問題が国際的にクローズアップされるのも新しい話ではない。

ですが、ウイグル民族は(漢民族とは昔から反りが合わないとはいえ)少数民族だから弾圧されているわけでは決してない。

ウイグルは、豊富な地下資源を有し、8カ国と国境を接する「一帯一路」の核心地域。

辺境ではない、台湾並みの戦略的重要性を持つ地域であることから理解する必要があります。

それはウイグルで起きていることが日本にとっても人権問題にとどまらない重要性を持つことを意味します。

私たちが日々接する一般的な中国人の見方も気になりますが、中央アジアで仕事をされていた参加者によると「中国にとっては、国の安定以上のプライオリティーはない」とのこと。これは指導部、一般の人々にかかわらず共有されている危機感かもしれません。

共和党議員を中心とした対中政策に関わるアメリカ人の中では、人権問題は安全保障問題でもあるという認識がありますが、米中は今後もこの問題で歩み寄ることはなさそうです。

次に、実際にウイグルで起きていること。

実態は、すでに報道に出ている通りですが、知識人が強制的に収容され、多くが死に至り、ウイグル人が億単位のカメラで監視され、点数性によって管理され、結果としてさらに多くが収容され、残された子供たちは施設に送られ、中国語が強要される。

家庭内にも漢民族の公務員らが「家族」として送り込まれる。

組織的な臓器狩りが行われている可能性が極めて高い、など。

実名で証言しているウイグル人の言葉を聞けば、これが人権問題というよりも、恐るべき次元で恐ろしいスピードで現実に起こっている人道問題であるとわかります。

最後に、個人として何ができるか。

ここ日本で報道に接している私たちは、あまりに無力。できることは多くはありませんが、

「まずは知ること」

「情報発信すること」

ウイグルで起こっていることの動画を、中国人の友人に見せてどう思うかきいた、という勇気ある参加者がいて驚きました。

「日本人として、中国人に言おうとするときいてくれないけれど、人と人として話をしようとすると意外とちゃんときいてくれる。日本国民としての自分と、人としての自分を分ける」

国家が個人を超える危うさについて、改めてアイン・ランドを参照すべき時期が来ているのかもしれません。