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2022.07.21

「『ロマン主義宣言』を読む」開催のお知らせ

・テーマ:生命感覚とは何か?
・日時:2022年7月30日(土)18:00- 20:00
・場所:LARKにて開催
・参加費:会員は無料、非会員は1000円(税込)

アイン・ランドは、アリストテレスが唱えた「存在としての存在」、すなわち、現実に存在している(と多くの人が認識する)「実体」「個物」「本質」の概念を土台に、独自の哲学体系を構築しました。「オブジェクティビズム」と呼ばれるその壮大な哲学体系は、「形而上学」、「認識論」、「倫理学」、「政治・経済理論」、「美学」の5つの分野に大別されますが、そのうち、もっとも語られることが少ない(つまりあまり知られていない)のが、5番目の「美学」の分野だといえます。

ランドは、1969年に発表された芸術論をまとめた著作『ロマン主義宣言』において、「ロマン主義的リアリスト」としての観点から、これまで誤解されてきた「ロマン主義」の本質、その哲学的ルーツ、そしてロマン主義が生命に与える重要性について、具体的な作品名や作者を挙げて詳細に論じました。それらの論考に頻出する特徴的な用語として注目すべきなのが、彼女が提唱する「生命感覚」(sense-of-life)なるフシギな概念です。

ランドは、思考というプロセスをすり抜けて、直接感情にはたらきかけてくる芸術作品がもたらす作用について考察しながら、人は無意識のうちに、自動的にすべての経験をまとめて、万物の本質、人生の意味についての暗黙の一般化を行っていると指摘します。そして、その作用を決定づける要因を「生命感覚」と名づけ、「形而上学の前概念に相当する、人間と万物についての無意識のうちに統合された感情的な価値判断」と定義します。

「存在」を認識する上において、なによりも「理性」を第一義に置くランドですが、一方で、ランドにとっての「感情」とは、人生を楽しむことも含めて、人生をよりよく体験する方法であり、けっして両者を対立するものとは考えていなかったのではないでしょうか。その感情の土台となるのが、彼女のいう「生命感覚」であり、そのはたらきによって、人が特定の芸術作品に接し、「この経験をするために生きていてよかった」と感じるとき、その喜びはそれ自体が目的となると述べているからです。

じつは晩年のランドは、「生命感覚」をテーマにした小説の執筆を構想していました。その作品はついぞ書かれることはありませんでしたが、『ロマン主義宣言』には、「生命感覚」について詳細に語られた論考がいくつも収められています。

今回の定例会では、同書の第二章「哲学と生命感覚」および第三章「芸術と生命感覚」を取りあげ、アイン・ランドを語る上で欠かすことの出来ない重要な用語でありながら、そのつかみどころのなさゆえに、ほとんどの読者に理解されていない「生命感覚」の謎について、徹底的に議論したいと思います。

参加希望者には、事前に上記テキストの翻訳版を配布しますので、事前にご一読ください。

ARCJでは、毎月1回程度の定例会を開催しています。
会員はどなたでも参加できます。
お問い合わせはこちら
https://aynrandjapan.org/about/