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2022.05.06

アイン・ランドの哲学史講義──「新しき知識人のために」を読む

・テーマ:哲学史
・日時:2022年5月21日(土)18:00- 20:00
・場所:オンライン(Lark)
・参加費:無料(会員のみ)非会員は別途相談

アイン・ランドは、自身の哲学を「オブジェクティビズム(客観主義)」と呼び、その本質について、「自分自身の幸福をその人生の道徳的目的とし、生産的な業績をその最も崇高な活動とし、そして理性を唯一の絶対的なものとする、英雄的な存在としての人間の概念」と説明しています。

彼女は、オブジェクティビズムを包括的な哲学体系とみなし、その領域は、形而上学、認識論、倫理学、政治理論、美学の分野に及びますが、射程範囲があまりにも広いため、その思想の全体像を把握するのは、ランドの小説を知っている者にとっても容易ではありません。

1961年に発表された『新しき知識人のために──アイン・ランドの哲学』(未邦訳)は、ランドが小説家としてではなく、一哲学者として発言したはじめての著作であり、オブジェクティビズムのアウトラインを把握するためには恰好の入門書となっています。

その巻頭に収められた表題論考において、彼女は、概念の参照元を持たない「意識の先行的確実性」に基づいた古代から近代にいたる著名な哲学者のほとんどを、具体的に名前を挙げながら、「哲学を混乱に陥れた重罪犯」として、容赦なく批判するいっぽう、アリストテレス由来の「存在は存在する(existence exists)」という公理に立脚したオブジェクティビズムの要諦を示し、客観的現実を第一義とみなす、その形而上学を起点に、理性による概念形成を基盤とする認識論、他人を犠牲にしない合理的利己主義の倫理学、さらには自由放任資本主義の道徳性までを論理的に導き出しています。

そこで、今回の定例会では、古代ギリシア哲学からポストモダニズムにいたる正統的哲学史を通観しながら、「人類の2500年間の文化的伝統に異議を唱える」ランドの異端的哲学史観との差異を検証し、オブジェクティビズムの土台をなす「形而上学」を中心に、その思想体系が確立された哲学的背景について検証します。

参加者は、事前に下記をご一読ください(下記2点のテキストは参加者に事前に配布します)

・「For the New Intellectual」の抜粋(日本語訳)
・『肩をすくめるアトラス』のゴールト演説の抜粋

※その他、参考図書として、出口治明『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社刊)が、正統的な哲学史を俯瞰的に把握するのに適しており、もし余裕があればご一読ください。